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心の沙漠を耕そう

中国の沙漠緑化の体験に学ぶ

 1998(平成4)年の夏、僕は「緑の協力隊・やまなし甲府隊」に参加した。きっかけは、昨年参加した先輩の話や、父からの強い勧めがあったからで、初めはあまり乗り気でなかった。
 参加する前は、ボランティアなんて、自分とは違う人がするもので、およそ僕には縁がないことだ、と勝手に決めつけていた。
 しかし、山梨から成田、中国の北京、内モンゴルの包頭、そして恩格貝のクブチ沙漠まで、まる2日かけての旅をして沙漠に立ったとき、そこに確かな緑のベルトが広がっている景色を眺めて、僕は感動してしまった。
 沙漠は「不毛の地」だと思っていた。そんな所に木を植えたって何にもならないじゃないか。時間と労力の無駄ではないか、とたかをくくっていた僕は驚いた。
 沙漠では、山梨県出身で日本沙漠緑化実践協会の遠山正瑛先生が迎えてくれた。95歳の年齢を全く感じさせない遠山先生は信念の男である。10年前に沙漠緑化活動を始めた時は、大地は全く砂だらけで、一面の砂丘が関東平野よりもさらに広がっていた。だが、今その一角に緑の大地が育っている。これはすごいことだと思った。
 「やればできる。やらなければできない。」と言って、遠山先生は、僕達に逞しく生きる情熱的なエールを送ってくださるが、全く脱帽である。80歳も違う遠山先生の方が、ひょっとして僕よりも若い力をもっているのかも知れないと、錯覚をおこすほどだった。

 沙漠の植樹作業は、スコップで砂を掘ってポプラを植える作業だが、簡単ではない。何よりも暑い。地表温度60度近くの炎天下できつい作業でいやになったが、そんなことは言っていられない。「とにかく、やるしかない」のだから、腹をくくって頑張った。
 夜の沙漠講座で、遠山先生は沙漠緑化によって世界平和の道が拓かれると、情熱的に講義をされたが、誰も眠る者はいなかった。大体、昼の過酷な作業の後であるのに、誰一人眠らない。え・・・・!!!、1時間も真剣に聞くことが出来たなんて、普段の僕には考えられないことだ。しかも、沙漠講座は3日間も連続し行われたのだ。
 まさに、「やればできる。」のだが、僕は今までの自分を反省し、恥ずかしくなった。
「やればできるのに、していなかった」のだ。
 沙漠の民家を訪ねたり、中国の子どもと接した時、僕は改めて日頃の生活を考えさせられてしまった。日本での生活は、お金を出せばなんでもすぐに欲しいものが手に入り、何不自由しない生活が当たり前だと考えていた自分に恥じる気持ちで一杯だった。
確かに物質的には豊かかもしれないが、本当にそれが豊かといえるだろうか。本当はもっと大切なことに気付いていない僕達の方が、心が貧しいのではないかと思った。
 沙漠緑化の旅は1週間という短い時間だったが、いろいろなことを考えさせられる長い長い「自分探しの旅」だった。僕は、日本に帰ってからも考えている。今の日本の僕は、これでいいのだろうか。出口はまだ見つからないが、「やればできる」という遠山先生の言葉を思い返しながら、自分を見つめて行きたい。
(高校2年生)

◆「心の沙漠を耕そう」・・・・春/夏/秋/冬/シリーズ
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★NPO法人山梨県ボランティア協会事務局長 岡尚志
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